【亜鉛ダイカストとは?】アルミダイカストと何が違うの?
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中津工業株式会社は亜鉛合金とアルミニウム合金両方の素材を製造可能なダイカストメーカーです。
今回は、弊社の祖業である亜鉛ダイカストについて、「アルミダイカストとの違い」という観点から解説します。
日本ダイカスト協会によると、2024年の国内のダイカスト生産量は906,801トンでした。
その内訳としてはアルミが最も多く、890,006トンで98.15%を占めています。
一方、亜鉛は14,482トンで1.60%程度の生産量となっています。
生産量の差の大きな要因としてはアルミと亜鉛の比重が挙げられます。亜鉛ダイカストで最も一般的に用いられる合金「ZDC2」の比重は6.6ですが、アルミダイカスト材「ADC12」は2.7とアルミに比べて2倍以上の重さがあります。
アルミダイカストの使用用途は自動車用部品が代表的で90%を占めますが、自動車の燃費(最近では電費)を考えた時に、比重が軽いアルミを選ぶのは必然的とも言えます。
このように生産量の少ない亜鉛ダイカストですが、アルミダイカストと比べて優れている部分も多くあります。代表的なものとして以下の4点が挙げられます。
鋳造サイクルが短い
金型寿命が長い
複雑形状の生産が可能
めっき性が高い
亜鉛ダイカストの持つ4つの強みを詳しく解説していきます。
「鋳造サイクルが短い」
亜鉛ダイカストではホットチャンバーダイカストと呼ばれる方式の鋳造機を使用します。アルミダイカストで使われるコールドチャンバー方式と異なり、射出部が溶湯の中にあり加熱された状態である為、”ホット”チャンバーという名前がついています。これは亜鉛の融点が低い(アルミが600℃なのに対し亜鉛は400℃)ことで可能となっています。しかし、射出部が溶湯中にないコールドチャンバーでは、溶湯を射出部に供給する「注湯」という動作が必要となる為、ホットチャンバーより鋳造サイクルが長くなる傾向にあります。
「金型寿命が長い」
ダイカストの品質の7割を決めると言われる「金型」。上述の通り亜鉛はアルミに比べて融点が低いことが特徴として挙げられますが、これは金型に与えるダメージが小さいことを意味しています。溶融金属が金型と反応して発生する「焼付き」不良もアルミダイカストに比べて少ないです。一般的にアルミダイカストの金型は10万ショットでその生涯を終えることが多いですが、亜鉛ダイカストでは30万~50万ショットは継続して良品を生産し続けることができます。形状によるため一概には言えませんが、当社の金型の中には累計100万ショット以上の猛者もいます。
そして、亜鉛の融点が低いことは、溶解に必要なエネルギー消費が少なくて済むという利点もあります。
「複雑形状の生産が可能」
亜鉛ダイカスト用合金は、溶湯の流動性(溶けた金属の流れやすさ)が良い、という特徴があります。流動性が良いことで複雑な形状や高い精度が求められる部品を得意としています。アルミダイカストでは鋳造後にマシニングセンタなどでの機械加工が必要な場合でも、亜鉛ダイカストでは鋳造品の状態でお客様の要求する寸法形状を得ることができます。加えて、抜き勾配についてもアルミの半分程度で済み、押し出しピンも比較的細くかつ少ない本数で離型することができます。
「めっき性が高い」
亜鉛ダイカスト製品の多くはめっき仕上げをされることで機能的特性や美的外観性を付加することができます。当社でも高級車の内装に使用される部品や楽器の部品など多くの鋳造品にめっきを施してお客様にお届けしています。亜鉛ダイカストにめっきを載せた製品はとても綺麗で、重厚感のあるものとなっています。皆さんの身の回りにも隠れた亜鉛ダイカスト製品はたくさんあります。
上で述べたもの以外にも、亜鉛は「衝撃強さ」や「靭性」などにおいても他の材料より優秀だったり、振動や音を吸収する能力も持ちあわせています。
このように、生産量の少ない亜鉛ダイカストにもアルミダイカストと比較して優れている点が多々あります。
当社では亜鉛ダイカストでもアルミダイカストでも対応可能です。「この部品にはアルミか亜鉛どちらを選べばいいのだろう?」といったお問い合わせにも、蓄積された経験と知識で回答させていただきます。
どんなことでも構いませんのでお気軽にお問い合わせください。
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